スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

インパール四部作を読んで

かつて、MLで推薦された高木俊郎著のインパール四部作―「インパ
ール」「抗命 インパ―ル作戦・烈師団長発狂す」「憤死 インパ―
ル作戦・痛根の祭師団参謀長」「全滅 インパ―ル作戦・戦車支隊の
最期」を、病床でやっと読みました。

読み終わって、こういう帝国陸軍史上最悪といわれる作戦に、私の義
父などが、命を賭けて戦わさせられたのかと、今更ながら暗然たる気
持ちになりました。

高木俊郎はインパール作戦の問題点として、「白兵戦の重視」と「兵
站の軽視」を挙げていますが、しかしこれは何もインパールに限った
ことでなく、太平洋戦争全体を通じての構造的な問題点で、インパー
ルではとくにそれが端的に現われたのだと思います。

日露戦争以来の「白兵戦の重視」は、物量に劣る中国軍相手の中国戦
争では成功しましたが、物量に圧倒的に優る米英軍相手の南方戦線で
は、その成功体験はまったく逆の結果となりました。高木の云うよう
に、それはまさしく「大和魂」と「物量」の戦いでした。

また「兵坦の軽視」すなわち現地調達主義は、主として肥沃な農村地
帯で戦った中国戦線では成功しましたが、密林や孤島での戦いでは、
敵の弾丸による戦死者よりもはるかに多い餓死者を生じました。

こういう愚かな作戦を、功名心に駆られて強行した牟田口廉也司令官
が、陣中で訓示を行った部分を引用しておきます。

< しばらく待たされていると、軍司令官が出て来た。そして、ある
いは激しく、あるいは悲痛な声をあげ、時には涙声さえまじえて、山
上の垂訓ならぬ訓示を始めたのである。

「諸君、佐藤烈兵団長は、軍命に背きコヒマ方面の戦線を放棄した。
食う物がないから戦争は出来んと言って勝手に退りよった。これが皇
軍か。皇軍は食う物がなくても戦いをしなけれぱならないのだ。兵器
がない、やれ弾丸がない、食う物がないなどは戦いを放棄する理由に
はならぬ。弾丸がなかったら銃剣があるじゃないか。銃剣がなくなれ
ば、腕で行くんじゃ。腕もなくなったら足で蹴れ。足もやられたら口
で噛みついて行け。日本男子には大和魂があるということを忘れちゃ
いかん。日本は神州である。神々が守って下さる。毛唐の奴ばらに日
本が負けるものか。絶対に負けやせん。必勝の信念をもってやれ。食
物がなくても命のある隈りやり抜くんじゃ。神州は不滅であることを
忘れちゃいかん」

この声涙共にくだる一時間余りの長広舌のため、あちらでも、こち
らでも脳貧血を起して卒倒する者が続出した。高橋、薄井の両参謀も
倒れた。それでも彼はいっこうに山上の迷言狂訓をやめようとはしな
かった。神州不滅論も時により結構だが、栄養失調の私達将校には立
って居ること自体が懸命の努力なのである。大尉以下の下級者には、
人間が食うような物は何一つ当らないのだ。ようやくにして訓示も終
り、彼は専属副官を従えて軍司令官宿舎の方へ帰って行った。私達は
救われた思いで、それぞれの瀬降りへ帰ったのである。>

高木俊郎「抗命 インパール作戦―烈師団長発狂す」(文芸春秋、
1966)P248
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://nishiha.blog43.fc2.com/tb.php/553-636f0a5c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

最近の記事

カテゴリー

カレンダー

09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -

月別アーカイブ

最近のトラックバック

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

「戦争を語り継ごうML」ご案内

このブログの記事は、主としてメーリングリスト「戦争を語り継ごうML」へ投稿したものです。このメーリングリストは、世代間の交流を通じて戦争を正しく語り継いでいく場として、設けたもので、10代から90代まで、多数の人が参加しています。

参加を希望される方は、上の「リンク」の「戦争を語り継ごうML」をクリックしてください。

コメントをどうぞ

このブログについてのコメントは、下記へお寄せください。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール

西羽 潔

Author:西羽 潔

・1933年生まれの軍国少年OB。
・メーリングリスト「戦争を語り継ごうML」主宰。
・ウェブサイト:「戦争を語り継ごう -リンク集-」
・著書:「むかし、みんな軍国少年だった」(共著)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。