スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

十七歳の硫黄島

秋草鶴次著「十七歳の硫黄島」(文春新書、06年12月)という本を読
みました。

著者の秋草氏は、1927年生まれ、15歳で志願して海兵団に入団し、そ
の後通信兵としての教育を受けた後、1944年、17歳で硫黄島に赴任し
ます。この本は、その6か月後の米軍上陸から、負傷して米軍の捕虜
になるまでの体験を克明に描写したものです。

玉砕の島“硫黄島”で戦った日本兵2万1千人余のうち生還者は僅か
1,023人、しかもその多くは戦時捕虜という負い目を持っているため
か、積極的にその体験を語ろうとしません。そういう意味で、この本
はきわめて稀重な価値をを持っていると思います。

著者は通信部隊に所属していたため、戦況に関する情報に接すること
も多く、また自身で敵の動向を偵察し司令部に報告するという任務も
帯びていましたので、下級兵士でありながら、全体の戦闘状況もよく
把握できる立場にありました。

その体験に戦後のいろいろな資料や自らの調査などの情報を加えて書
かれていますので、単なる主観的な体験記というより、硫黄島の攻防
戦の経緯を客観的に記述した戦記となっており、そういう意味でも、
たいへん貴重な史料といえましょう。

例の映画の主題になった「摺鉢山の星条旗」についても、米兵の喚声
や口笛とともにそれが掲げられた時の様子が臨場的に書かれています
が、驚いたことに最初に掲げられた星条旗は、その後夜陰に乗じて2
度も日章旗に取り替えられたとのことです。

硫黄島は、本土防衛のための文字通りの捨石とされたわけですが、兵
士たちもまったくの使い捨て。水も食糧も、武器も医薬品も尽き果て
て、後は死を待つばかり。この本に描かれている壕内の様子はまさに
生き地獄そのものです。

帯封に、「クリント・イーストウッド監督にも是非読んでもらいたい」
とありますが、「硫黄島からの手紙」のように将軍が主人公でなく、
秋草氏のような一兵士を主人公にしたら、また違った映画ができるか
もしれません。

この本については、下記のサイトも参考になります。

秋草さんと二宮和也くんの『硫黄島』」(文藝春秋|本の話より)
< 本書は、硫黄島の地下壕から、六十一年の時を超えてわたしたち
に送られてきた手紙である。
 硫黄島のあの時と、わたしたちのいま現在は、暗く長い地下壕でつ
ながっている。遠い昔の過ぎ去った出来事ではない。>

硫黄島の真実 当時17歳通信兵が語る」(東京、12月29日)
< 米軍からの攻撃に加え、飢えと渇き、負傷で極限まで追い込まれ
た日本兵同士の殺し合いも起きた。手りゅう弾で自決する兵士も相次
いだ。軍の階級や指揮系統はまったく機能せず、「弱肉強食」の世界
になった。>
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://nishiha.blog43.fc2.com/tb.php/494-8e2acb0b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

最近の記事

カテゴリー

カレンダー

05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

月別アーカイブ

最近のトラックバック

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

「戦争を語り継ごうML」ご案内

このブログの記事は、主としてメーリングリスト「戦争を語り継ごうML」へ投稿したものです。このメーリングリストは、世代間の交流を通じて戦争を正しく語り継いでいく場として、設けたもので、10代から90代まで、多数の人が参加しています。

参加を希望される方は、上の「リンク」の「戦争を語り継ごうML」をクリックしてください。

コメントをどうぞ

このブログについてのコメントは、下記へお寄せください。

名前:
メール:
件名:
本文:

プロフィール

西羽 潔

Author:西羽 潔

・1933年生まれの軍国少年OB。
・メーリングリスト「戦争を語り継ごうML」主宰。
・ウェブサイト:「戦争を語り継ごう -リンク集-」
・著書:「むかし、みんな軍国少年だった」(共著)

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。