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戦時中の教科書に出てきた外国

MLで、日中戦争時でも、世間では意外にアメリカ文化が流行っていたということを聞いて、若い人が驚いていました。そこで戦時中(日中戦争時を含む)の教科書に、外国の事情がどのように描かれていたかを、ご紹介したいと思います。

15年戦争の嚆矢となった満州事変が起こった翌々年の1933年に、小学校の 教科書が改訂されました。いわゆるサクラ読本といわれる第4期の教科書に なりました。

この第4期の教科書から、時局を反映してかなり戦時色が濃くなってきました。しかし欧米を中心とした外国人もまだかなり登場しています。例えば、コロンブス、ライト兄弟、張良と韓信、スチーブンソン、アレキサンダー・グラハム・ベル、リヤ王、ソクラテス、ナイチンゲール、フランクリンなどです。

その後1941年に、小学校は国民学校に改められ、それとともに、教科書も第5期に代わりました。そしてそれは徹底した皇国民練成のためのものでした。

第4期の外国人はほとんど姿を消し、第5期に引き継がれたのは、僅かにジ ェン ナー、ガリレオ、ベートーベンのみでした。このうちガリレオは同盟国のイタリア、ベートーベンは同じくドイツと、国籍が明記されていましたが、種痘を発明したジェンナーについては、イギリスという国籍は明記されていません。ジェンナーが採り上げられたのは、おそらく当時小学生に強制されていた種痘の意義を分からせるためであったのでしょう。

代わって新しく登場した名のある外国人は、満州国皇帝・愛親覚羅溥儀ただ一人です。彼は、日本の宮城を遥拝する場面で登場します。

外国事情についても、第4期ではまだ、「ホノルルの一日」、「アメリカだより」、「南極海に鯨を追う」、「パナマ運河」、「欧州航路」、「欧州めぐり」などは残っていました。

しかし第5期になると、同盟国ドイツ・イタリアを含め、西欧は完全に姿を消し、満州や占領地を除く、中国も消えました。教科書の世界は、「満州国」および日本が構想する「大東亜共栄圏」内の占領地だけの狭い世界になってしまいました。

このようにして、私たちは国際社会から隔絶されて、欧米の優れた文化も知らない「井の中の蛙」のまま、大日本帝国は世界に冠たる神国であり、日本民族は天孫民族として他のどの国よりも優れているという皇国意識を叩き込まれたのです。

今もわが国の近くに、同じように世界から断絶された国民がいます。それを批判する人は、かつての大日本帝国も同じようであったということをよく知るべきです。

参考文献:入江曜子著「日本が『神国』だった時代 -国民学校の教科書をよむ-」
(岩波新書、2001年)
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西羽 潔

Author:西羽 潔

・1933年生まれの軍国少年OB。
・メーリングリスト「戦争を語り継ごうML」主宰。
・ウェブサイト:「戦争を語り継ごう -リンク集-」
・著書:「むかし、みんな軍国少年だった」(共著)

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