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中国の恩を仇で返す安倍妄言について

MLへIさんからご投稿いただいたメールをご紹介します。Iさんは戦前から中国に住でおられ、戦争末期現地召集され、敗戦後は旧ソ連に抑留、帰国後はシベリア抑留者の補償問題に積極的に取り組んでおられる方です。

 私は戦前に中国に住み、戦後も1957年からたびたび訪れてこの国の人々に尊敬と親しみを持つ者です。私の中国の旅は前の戦争のお詫びから始まるのですが、例外なく返ってくる言葉は周 恩来氏の“いや先生、悪いのは一部軍国主義者のせいで、貴方も被害者の一人ですよ。関係ナイヨ”です。かくして入国の儀式は無事終わるのですが、この好意的な度量あふれる言葉が日本人用に作られたものではなく、実は苦渋の末に自国民を説得するためのものであることを偶然に知り、慄然とした記憶があります。

 日本の理不尽な侵略により殺され、犯され、奪われ焼かれ、甚大な惨禍を被った多くの人々の怨嗟は1世紀や2世紀で消え去るものではないことは、わが身に振り替えて考えれば容易に判ることです。被害者の心は恨みで激しく燃えていたのに中国は日本兵や戦犯、居留民をとがめることなく帰国させ、「暴に酬いるに徳を以ってす」と一銭も賠償を求めず請求権を放棄してくれました。我が国の今日あるのはこの温情に負うところが多い筈で、中国には足を向けて寝られない恩義があります。

 “その理解はやや階級史観風だ” と否定した安倍晋三談話を知り、私は腹が立つより恥ずかしい思いでいっぱいでした。知らずに言ったのなら余程の愚者で、知ってであれば忘徳漢、稀代の破廉恥漢であります。

 中国は自由化が進みITなどの普及で長らく抑えられていた戦争の怨恨と反日感情が一気に噴き出し、戦後60年にして漸く地表に現れたように思います。各地の戦争記念館も増えましたがこれは反日を意図したものではなく事実を保存したもので、これを咎めるならヒロシマ、ナガサキの記念館も許されないことになります。

 このような時の安倍妄言は加害者の思い上がりであり、被害者の古傷に塩を摺り込む以外の何ものでもありません。周 恩来氏の言葉は日本人にとってもまさにその通りではありませんか、いま靖国問題は戦争責任の検証にまで進展し、日本人自らの手でメスを入れて病根を抉り、その後始末をしない限りアジアの平和は覚束ないと思います。

 中国戦線で鬼のような蛮行を重ねた兵士らも靖国の英霊ですが、彼たちは戦争の被害者であるのか、加害者なのか? 空襲で親兄弟をやられたのはアメリカの爆撃手のせいであるのか? 重い問いかけに安倍はどう答えるのでしょうか。

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プロフィール

西羽 潔

Author:西羽 潔

・1933年生まれの軍国少年OB。
・メーリングリスト「戦争を語り継ごうML」主宰。
・ウェブサイト:「戦争を語り継ごう -リンク集-」
・著書:「むかし、みんな軍国少年だった」(共著)

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