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明仁さん、美智子さん、皇族やめませんか(3/3)

裕仁天皇に対してはたいへん厳しい評価をした筆者ですが、本の副題
にもあるとおり、明仁天皇にはずいぶん好意的です。

皇太子時代の天皇とは、ずいぶん親しい間柄であったようです。例え
ば、1964年の皇太子夫妻がメキシコを訪問した帰りの特別機の中で、
皇太子が自ら記者の座席まで来て、記事の原稿のことで頼んだり、記
者会見のとき煙草を手にしたら、美智子妃が火をつけてくれたといっ
たエピソードが紹介されています。

それは単に同じ歳という気安さだけでなく、二人が同世代としての平
和観を共有していたからではないかと思います。天皇が反戦平和の思
いを持っておられるのではないかということは、このMLでも再三言
ってきましたが、この本でも随所にそれがうかがわれます。例えば、

●皇太子時代に、「天皇家は武でなく文です」と語った。
●即位式で、「日本国憲法を遵守し」と述べ、ある自民党政治家に
「いまどき憲法擁護など言ってもらったら困る」などと言わせた。
●イラク派兵などの憲法空洞化に深く心を痛めており、私的に招い
たマスコミ幹部OBにそれを漏らしている。

そして筆者は、天皇の心のうちを忖度して、終章で次のように書いて
います。

< 自民党の「新憲法草案」では、与党連合を組む公明党や、民主党
の改憲派に配慮したので《愛国心の強調》は当初よりもトーンダウン
させている。しかし、本音は別のところにある。ハードルを低くした
「憲法改正条項」を利用して、そのうちもっと色濃く《皇室への尊崇
》ひいては《愛国心の強制》を打ち出すのではないか。

つまり、《愛する国》を守るために武器を持って立ち上がれという
国民意識を高めようとするに違いない。いま行われている「歴史教科
書の改変」と「国旗・国歌の強制」などは、その地ならしなのだ。

明仁天皇はとても困ると思う。

父昭和天皇の苦悩を一番知っているのは明仁天皇だ。軍服を着た父。
生き神にされた父。その神秘性を利用された父。小学六年生まで、そ
れを信じていた自分。その価値観が一夜で逆転してアイデンティティ
ーを見失い、やっと新憲法をよりどころにして、心の安定を見つけ、
それを支えに即位して一七年……。

「天皇家は武ではなく文です」と語つた皇太子時代の言葉は、穏やか
な表現だが、心の奥の葛藤からふり絞られた痛切な思いだったと思う。
靖国神社に行かないのもそのためだ。「オイオイ待ってくれよ」と叫
びたいに違いない。

しかし何度も言うが、天皇には拒否権はない。

代わつてわれわれ国民が考えなければいけない。こちらから「明仁
さん、美智子さん、皇族やめませんか?」と言ってさしあげなければ
ならないのだ。>
(おわり)

下記のサイトもお読みください。

「“菊のタブー”に挑んだ元宮内庁記者の心意気
< しかし本書の真の価値は、皇室の内幕ネタにあるのではない。こ
れまで誰も言及しなかった(できなかった)、現行の象徴天皇制の矛
盾に光を当て、そこで起きている皇室の人々の「基本的人権の剥奪状
態」を指摘し、しかもその元凶は宮内庁でも因習でもなく、深く考え
もせずに象徴天皇制を漫然と受け入れている、日本国民自身ではない
かと問題提起する。それもきわめて平易な言葉と洒脱な表現によって、
サブタイトル通り「愛をこめて」。>


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プロフィール

西羽 潔

Author:西羽 潔

・1933年生まれの軍国少年OB。
・メーリングリスト「戦争を語り継ごうML」主宰。
・ウェブサイト:「戦争を語り継ごう -リンク集-」
・著書:「むかし、みんな軍国少年だった」(共著)

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