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不破哲三氏の戦争体験(下)

引続きを不破哲三氏の戦争体験(下)をご紹介します。

日本の戦争をめぐって 2

東京大空襲の惨状

一九四五年三月十日の東京大空襲のとき、中野区の野方に住んでいた
私は、空襲の被災は経験しませんでした。妻は台東区の御徒町でした
から、火の海のただなかに置かれ、両親や弟と猛火のなかを逃げまど
ったとのことです。被害の結果は公表されませんでしたが、“下町が
ひどいことになっている”という話はすぐ伝わってきて、数日後、私
は同級生らと語らって、被災地へ向かいました。四ッ谷駅から歩いて、
ようやくたどり着いて私たちが目にしたのは、一面、くすぶり続けて
いる焼け野原の浅草で、いたるところ黒こげの死体がごろごろしてい
ます。これが空襲か、と思い知らされました。

五月二十五日の大空襲では、中野も爆撃目標となり、隣近所ほとんど
の家に焼夷弾が降ってきましたが、なんとか消し止めました。ただ、
結核を病んで家の二階で療養中だった次姉が空襲の騒ぎのなかで衰弱
をひどくし、翌日に亡くなったのは、いまも忘れられない悲しい思い
出です。

いま戦争史を読みなおすと、一九四四年夏ごろには、戦争指導部のあ
いだで、戦争終結論がすでに論じられはじめていたことがわかります。
その動きはいつも、なんとか相手に、一撃を与えて「国体維持」に少
しでも有利な条件を、という思惑から、そのつど消えてゆきました。
そして、敗戦必至という状況のなかで、特攻作戦、本土空襲、沖縄戦、
広島・長崎の原爆投下などの国民的な悲劇が次々と進行したのです。
国民の生死をどこまでも軽くみる日本の戦争の性格は、敗戦へのこう
した経過にも、むきだしの形であらわれていました。

敗戦の連続の衝撃

私は、動員先の明電舎大崎工場で、倉庫係を受け持っていましたから、
完成した水晶発振器を軍にとどけるのも、私たちの仕事でしたが、最
後の年になると、製品は、多摩川の河川敷につくられた仮の倉庫に運
びこむのが圧倒的でした。たまに、市ヶ谷の航空本部に運ぶことがあ
るのですが、ごくわずかの数量で、私たちにも特攻機用だとわかりま
した、水晶発振器を使う飛行機そのものが、もうなくなりつつあった
のです。

そんななかで、八月十四日、「明日は敗戦の放送がある」という“情
報”がどこからか私たちのところにも流れてきましたが、私は頭から
問題にしませんでした。現実にどんな状況を目にしても、日本は敗け
るはずがないと国民に思いこませるのが、「神国」思想でした。

ですから、日本の敗戦は、「神の国」思想で育てあげられた私たちに
は、本当の衝撃でした。

その私たちにとって、八月以後、日本の戦争が不正義の戦争、侵略戦
争だったということを、まぎれもない歴史の事実をもって知らされた
ことは、それ以上の衝撃で、子どもながらに、価値観の百八十度の転
換を締験した、歴史的な一時期でした。

そして、それに続く衝撃は、戦争が始まった最初から、侵略戦争とい
う本質を見抜き、生命をかけてたたかい抜いた一つの政党があったこ
とを知ったことでした。敗戦のとき、十五歳だった私が、その党の一
員となる道を選んだのは、それから一年半ののち、十七歳の誕生日を
前にした一九四七年一月でしたが、その最大の動機は、戦争をめぐる
現実を知った衝撃だった、と言えます。

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プロフィール

Author:西羽 潔

・1933年生まれの軍国少年OB。
・メーリングリスト「戦争を語り継ごうML」主宰。
・ウェブサイト:「戦争を語り継ごう -リンク集-」
・著書:「むかし、みんな軍国少年だった」(共著)

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