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猪木正道氏の二人の教え子

去る14日の京都新聞のコラム「凡語」は田母神問題を採りあげ、次の
ように書いています。

<第三代防衛大校長だった猪木正道氏は「軍国主義が愛国心を不当に
ゆがめた反動で、戦後は愛国心が否定されてしまった」と「軍国日本
の興亡」(中公新書)で指摘している。世界に誇れる堂々とした愛国
心のあり方を考えてみたい。 >

戦時中愛国心を叩き込まれた私には、田母神前空幕長が考えている愛
国心と軍国主義によってゆがめられた愛国心とはよく似ているように
思われます。

猪木氏はまた「軍国日本の興亡」で次のようにも書いています。

< 戦前・戦中の軍国主義と戦後の空想的平和主義とは、まるで双生
児のようによく似ている。考え方が独善的であり、国際的視野を欠い
て一国主義的であること等そっくりである。>

田母神論文もまさに「国際的視野を欠いて一国主義的」です。田母神
氏が防衛大に在学中の校長であった猪木氏が生きていたら、この論文
をどのように評価したでしょうか?

現在の防衛大校長である五百旗頭真氏も、京大時代の猪木教授の教え
子ですが、9日付の毎日新聞「時代の風」欄で田母神氏を批判しています。
この記事は読んでいないのですが、MLでO氏がその内容を紹介していた
だいたので、以下転載します。

 最初に<制服自衛官は政治的問題につき政府の決定に服する責めを
負う。もちろん制服を含め、誰しも自らの意見を持つことができる。
しかし個人の思想信条の自由と、職責に伴う義務とは別問題である。
軍人が自らの信念や思い込みに基づいて独自に行動する事は、軍人が
社会における実力の最終的保有者であるだけに、きわめて危険である
…>とあり、その後に<それ故にすべての民主主義国にあっては、軍
人は国民によって選ばれた政府の判断に従って行動することが求めら
れている。これがシビリアンコントロール(文民統制)である。>と
つづきます。

その後、五百旗頭氏は1928年の張作霖爆殺事件を想起すると語る。
この事件は、ご承知の通り関東軍の河本大作参謀の独自の政治判断で
行われました。五百旗頭氏は続けます。<それ自体驚くべき独断専行
であるが、それ以上に重大であったのが軍部と政府がこの犯行を処罰
しなかったことである。そのことが、軍人が国のためを思って行う下
克上と独断専行はおとがめなしとの先例をなした。軍部に対するブレ
ーキが利かないという疾患によって、日本は滅亡への軌道に乗った。
シビリアンコントロールがいかに重要かを示す事例である。>

今回の更迭はシビリアンコントロールを貫徹する意味で<意義深い
決断であると思う。制服自衛官は、この措置を重く受け止めるべきで
ある。>と述べています。

五百旗頭氏は防衛大学校校長ですから、つづいて、今回の問題によ
って、防大の教育への疑念が出ていることに触れていきます。<ダレ
ス特使の再軍備要求に抵抗した吉田茂首相であったが、防大の設立に
はなみなみならぬ意欲を示し、「下克上のない幹部」をつくることを
求めた。これを受けて槙智雄初代校長が民主主義時代にふさわしい幹
部自衛官育成の精神とかたちを築いた。その教育方針は「広い視野、
科学的思考、豊かな人間性」を培わんとするものであった。>

五百旗頭氏は、旧軍時代の独善的な思い込みによる行動を自省した
方針であると評価し、<今なお妥当性を失わないのである。>としま
す。そして、槙校長の事跡と思想を展示する記念室を、防大資料館内
に開設したことを述べ、<その中に「服従の誇り」という不思議な言
葉がある。通常、服従は奴隷的であり、屈辱的である。個性の確立と自
主自立こそが誇りであろう。槙校長は、国民と政府への自衛官の「服
従」が、自発性に基づく積極的なものであり、それが国と国民に献身
せんとする大義に発するものであるならば、立派に「誇り」たり得る
ことを、創立期の防大生に対して説いたのである。言い換えれば、槙
校長はシビリアンコントロールを外力への服従としてではなく、自ら
の信条として内面化することを語りかけたのである。>と述べます。

防大の「歴史教育」を点検したが、戦争を賛美するような講義内容
はなかったとし、<すべてが資料根拠に忠実な実証研究のスタイルで
あった。>と述べています。

最後のパラグラフで、五百旗頭氏は、源氏物語を生み、非西洋世界で
近代化をまっさきに成功させ、格差の最も少ない豊かな民主主義を築
いた《卓抜した能力を示してきた立派な国民だと考えている》と述べ
ています。

そして最後に次のように結んでいます。<その中での遺憾な局面が、
あの戦争の時代であり、今なお誤りを誤りと認めることができずに精
神の変調を引きずる人がいることであると考えている。>と。

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プロフィール

西羽 潔

Author:西羽 潔

・1933年生まれの軍国少年OB。
・メーリングリスト「戦争を語り継ごうML」主宰。
・ウェブサイト:「戦争を語り継ごう -リンク集-」
・著書:「むかし、みんな軍国少年だった」(共著)

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