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インパール四部作を読んで

かつて、MLで推薦された高木俊郎著のインパール四部作―「インパ
ール」「抗命 インパ―ル作戦・烈師団長発狂す」「憤死 インパ―
ル作戦・痛根の祭師団参謀長」「全滅 インパ―ル作戦・戦車支隊の
最期」を、病床でやっと読みました。

読み終わって、こういう帝国陸軍史上最悪といわれる作戦に、私の義
父などが、命を賭けて戦わさせられたのかと、今更ながら暗然たる気
持ちになりました。

高木俊郎はインパール作戦の問題点として、「白兵戦の重視」と「兵
站の軽視」を挙げていますが、しかしこれは何もインパールに限った
ことでなく、太平洋戦争全体を通じての構造的な問題点で、インパー
ルではとくにそれが端的に現われたのだと思います。

日露戦争以来の「白兵戦の重視」は、物量に劣る中国軍相手の中国戦
争では成功しましたが、物量に圧倒的に優る米英軍相手の南方戦線で
は、その成功体験はまったく逆の結果となりました。高木の云うよう
に、それはまさしく「大和魂」と「物量」の戦いでした。

また「兵坦の軽視」すなわち現地調達主義は、主として肥沃な農村地
帯で戦った中国戦線では成功しましたが、密林や孤島での戦いでは、
敵の弾丸による戦死者よりもはるかに多い餓死者を生じました。

こういう愚かな作戦を、功名心に駆られて強行した牟田口廉也司令官
が、陣中で訓示を行った部分を引用しておきます。

< しばらく待たされていると、軍司令官が出て来た。そして、ある
いは激しく、あるいは悲痛な声をあげ、時には涙声さえまじえて、山
上の垂訓ならぬ訓示を始めたのである。

「諸君、佐藤烈兵団長は、軍命に背きコヒマ方面の戦線を放棄した。
食う物がないから戦争は出来んと言って勝手に退りよった。これが皇
軍か。皇軍は食う物がなくても戦いをしなけれぱならないのだ。兵器
がない、やれ弾丸がない、食う物がないなどは戦いを放棄する理由に
はならぬ。弾丸がなかったら銃剣があるじゃないか。銃剣がなくなれ
ば、腕で行くんじゃ。腕もなくなったら足で蹴れ。足もやられたら口
で噛みついて行け。日本男子には大和魂があるということを忘れちゃ
いかん。日本は神州である。神々が守って下さる。毛唐の奴ばらに日
本が負けるものか。絶対に負けやせん。必勝の信念をもってやれ。食
物がなくても命のある隈りやり抜くんじゃ。神州は不滅であることを
忘れちゃいかん」

この声涙共にくだる一時間余りの長広舌のため、あちらでも、こち
らでも脳貧血を起して卒倒する者が続出した。高橋、薄井の両参謀も
倒れた。それでも彼はいっこうに山上の迷言狂訓をやめようとはしな
かった。神州不滅論も時により結構だが、栄養失調の私達将校には立
って居ること自体が懸命の努力なのである。大尉以下の下級者には、
人間が食うような物は何一つ当らないのだ。ようやくにして訓示も終
り、彼は専属副官を従えて軍司令官宿舎の方へ帰って行った。私達は
救われた思いで、それぞれの瀬降りへ帰ったのである。>

高木俊郎「抗命 インパール作戦―烈師団長発狂す」(文芸春秋、
1966)P248
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従軍慰安婦問題、安倍発言について

昨日の参院予算委員会の中継録画を見ますと、新聞、テレビでは報じ
ていない部分も視聴できます。安倍首相は、米下院における元慰安婦
の証言は、かの吉田清次氏と同じく事実誤認であるかのような答弁を
しています。

もしこの部分が世界に報じられたら、日本政府にとって事態はますま
す悪くなることでしょう。

中継録画は下記URLでご覧になれます。小川敏夫議員 ( 民主 ) の
質問部分の経過時間1時間2分~16分をご覧ください。

参議院インターネット中継

またこの録画を観ますと、民主党の小川議員の質問に対し、安倍首相
が「小川委員は、戦後60年自由と民主主義、基本的人権を守ってきた
日本の歩みを貶(おとし)めようとしている」といった答弁をして、
審議が一時中断しています。

この「貶める」という言葉は、安倍首相の取り巻きのネオコンたちが
よく用いる「反日」「自虐」などと同義語のように聞こえました。首
相もいよいよ本性を表してきたようですね。

しかし小川議員が「貶め」ているのは戦時中の“大日本帝国”であっ
て、戦後の“日本国”ではないと思います。「戦後体制からの脱却」
をスローガンとしている首相のほうが、むしろ戦後日本の歩みを「貶
め」ているのではないでしょうか?

安倍首相は昨夜の記者会見で再び、「日本は深刻な反省の中から自由
と民主主義、基本的人権を守って国際的な地位も築き、信頼も得てい
る。戦後60年の日本の歩みに対し、世界が高い評価をしている」と語
りました。

戦後の歩み世界が評価=安倍首相」(時事通信)

国内向けには戦後体制からの脱却を掲げ、対外的には現行憲法を守っ
てきた戦後の日本を誇示する、この二面性の矛盾がだんだん露呈して
きた感があります。

今日の韓国・朝鮮日報の社説も、この安倍答弁を批判しています。

背筋寒くなる安倍首相のアジア蔑視
< 安倍首相は5日、自身の発言を批判する野党議員に対し「あなた
は日本を見下げているのか」と受け答えた。しかしアジアを見下す彼
の態度には、むしろアジアを侵略した100年前の日本の態度、いやア
ジアの女性を性的奴隷として戦場に連行した70年前の日本の官憲や官
営業者に対するのと同じくらい、背筋が寒くなるものを感じた。>


その他、この問題に関する日韓の新聞の社説をご紹介します。

ついに本性を現わした安倍首相」(東亜日報、5日)
<就任数ヵ月も経たない安倍首相が本性を現わしたことに対し、日本
内では「政治生命がかかった7月の参院選挙を控え、右翼性向の票を
結集させようという意図」のためだという分析も出ている。しかし、
その時々の利害によって信義を捨て去り豹変する行動が続く限り、日
本は周辺国から尊敬される大国にはなれない。>

「『慰安婦』発言 いらぬ誤解を招くまい」(朝日、6日)
< 首相の一言が大きな波紋を呼んだのは、首相自身がかつて河野談
話を批判する議員グループの先頭に立ってきた過去があるからだ。>

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プロフィール

Author:西羽 潔

・1933年生まれの軍国少年OB。
・メーリングリスト「戦争を語り継ごうML」主宰。
・ウェブサイト:「戦争を語り継ごう -リンク集-」
・著書:「むかし、みんな軍国少年だった」(共著)

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