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安倍首相の“転向”?

一昨日、昨日の衆院予算委員会は、久しぶりにおもしろい論戦が聞け
ました。そして、菅直人、志位和夫といった野党を代表する論客の鋭
い舌鋒によって、ガードの固かった安倍首相の「歴史観」のベールが
しだいにはがされていき、「村山談話」、「河野談話」の継承などは
もとより、祖父・岸信介の戦争責任まで、首相は認めるに至りました。

こうしてみると、首相のタカ派的な歴史観も案外浅薄なものだったと
思えます。取り巻きのウルトラ・タカ派連中の受け売り程度のもので
しょう。「後世の歴史家に任すべき」という逃げ口上は、ホンネを隠
すというより、その浅薄さを隠すためだったのでしょうか?

今朝の朝日、東京の両紙の社説は、こうした安倍首相の“転向”を評
価しています。

安倍政権 ちょっぴり安心した 」(朝日)
< 先の大戦を「自存自衛の戦い」と位置づける。日本政府の「謝罪
外交」を批判し、歴史教科書の「自虐史観」に修正を求める――。

 首相になるまでの安倍氏は、そうした考え方の議員グループなどで
中心的な役割を果たしてきたからだ。安倍氏のブレーンには、もっと
激しい主張の人々がそろっている。

 首相になった安倍氏が、政府の方針としてどんな主張を掲げるのか。
政府の歴史認識や基本見解は変更されるのか。多くの国民はそこを注視
してきた。

 だが、この1週間の安倍氏の答弁は、意外なまでのソフト路線に終始
した。安倍氏の従来の主張に期待した人々にとっては、拍子抜けだった
かもしれない。不安を抱いた私たちは少し安心した。>

安倍史観 逆戻りは許されない」(東京)
< 初の本格的な論戦の場となった衆院予算委員会で、安倍晋三首相
は“封印”してきた歴史認識を語り始めた。タカ派色を薄め、政府見
解を踏襲した「安倍史観」が示された。逆戻りは許されない。

 日本の「植民地支配と侵略」を認めた「村山談話」などは政治家個
人としても継承する。極東軍事裁判(東京裁判)でA級戦犯として裁
かれた国家指導者に戦争責任はあるが、戦争犯罪人ではない-。二日
間の論戦を通じて浮かび上がった首相の歴史観だ。>

森元首相は、安倍人気を「ハンカチ王子」になぞらえ、「かつて言っ
てきたこととまったく違うことを言い出した。若い政治家から内閣総
理大臣という重い立場に立ち、よく考えて話をしないといけないこと
をやっと分かってきた」と述べています。とかく放言で問題を起こす
森氏ですが、「ハンカチ王子」とは言い得て妙と、座布団一枚さし上
げましょう。

安倍首相は「ハンカチ王子」 真価はこれから、と森氏」(朝日、
7日)
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ある主婦の遊就館レポート

安倍政権の登場で、靖国神社の「遊就館」が国会論争のテーマになるほど、脚光を浴びています。遊就館の見学記は、ネットにも多数見られるところですが、珍しくある主婦がブログにレポートを書いていますので、館内で上映されている映画「私たちは忘れない!」の部分を以下ご紹介します。

<映画の上映時間は50分。コイズミも大好きなヨシキとやらの歌声に乗せて、神社の境内が写り、「私たちは忘れない!」のタイトルバック。「フツーの」女の子のインタビュー。


終戦記念日頃になると頻繁に放送される「戦争ものドキュメンタリー」の暗いトーンとはかけ離れた明るい雰囲気の画面。

惨たらしい死体やケガ人、焼け野原などの「美しくない」映像は皆無。
そのかわりに、自国がどれだけ他国の横暴にあってきたか、それに対し国民がどれだけ勇敢に立ち向かったかを強調。
このままでは侵略され植民地にされるしかない日本は、自衛のために戦争をするしかなく、アジアの独立をかけた日本の勇気ある決断に、アジアの人達も拍手喝采。
その影で軍部に暗殺されたり、言論弾圧に苦しめられたり、拷問で死んだり、戦地で自決を迫られた人たちのことはオールスルー!
イタリアやドイツなどのファシスト政権と手を組んでいた事もさらりとスルー。

満鉄爆破事件までをも「しかたがなかったこと」と弁明。
東京裁判では東条英機を「被害者」として美化。

複雑な「戦争に至るまでの道のり」を、単純に一面的にとらえ、「とにかく日本は悪くなかった」の一点張り。
しだいに高揚するナレーターの女性の声のテンションはまさに「ピョンヤン放送」もとい「大本営発表」。
この空間では未だ「戦前」の価値観がまかり通っているのかと、愕然とさせられた。

ふと横を見ると、隣の男性が手でしきりに涙を拭っているではないか!

げ、と思い暗い館内を見渡すと、前の方では若い女の人がやはりハンカチを目元に当てている。へぇ~~~っっ???
逆に、お年よりは冷静?で、前の席のおじいさんは、途中で席をたったり、あくびをしたり。正直、こっちのほうがマトモな反応かと思われ。
上映室を早めに出て、後から出てくる人の反応を観察。「今泣いてた?」って感じの、眼球真っ赤な人が数人。いずれも若者だった。

ある意味「感動」するのは、当たり前である。
あのビデオは歴史の都合の良い部分だけをつなぎ合わせ、都合の良い解釈をして、感動させるように作られているからだ。それが、何の知識も先入観もない若者の真っ白な心に、うまく入り込むのだと思う。>

コーソツ主婦の靖国問題(2) おくればせ遊就館レポート!」

私はこの映画を見ていませんが、それほど若者が涙を流すとは知りませんでした。一方お年寄りの反応は理解できます。子供のころ、さんざ見せられたような内容でしょう。それもあるとき突然あれはすべて間違っていたと教えられたのです。

この映画を製作したのは「日本会議」。ウィキペディアによると、

<愛国主義・反共・「国益」重視を基本スタンスとし、親米保守主義の立場から提言を行っている。島村宜伸、麻生太郎、安倍晋三、山谷えり子、稲田朋美、平沼赳夫、高市早苗、下村博文、西村真悟などの政府与党系国会議員との結びつきが強い。(野党では松原仁ら)「全日本愛国者団体会議」(全愛会議)などと同じく、各保守系団体同士の連絡機関(労働組合で言うところの「ナショナルセンター」)の役割も果たしている。一般的には財界系右翼団体と認識されている。>

何と、ここに挙がっている国会議員のうち、麻生太郎、安倍晋三、山谷えり子、高市早苗、下村博文が安倍内閣のメンバーです。日本会議国会議員懇談会の中川昭一・ 会長代行は、自民党政調会長で安倍首相の盟友です。

この映画を見られた方は、ぜひ感想をお寄せください。あなたは涙を流されましたか?

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プロフィール

西羽 潔

Author:西羽 潔

・1933年生まれの軍国少年OB。
・メーリングリスト「戦争を語り継ごうML」主宰。
・ウェブサイト:「戦争を語り継ごう -リンク集-」
・著書:「むかし、みんな軍国少年だった」(共著)

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