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不敬文学と呼ばれた源氏物語

今朝の朝日新聞の文化面に、「源氏物語 あちこち『削ル』」の見出
しで次のような記事が掲載されています。

< 源氏物語が不敬文学と呼ばれていた時代があった。谷崎潤一郎は
源氏物語を大きく3度にわたって現代語訳したが、昭和10年代の最初
の訳は、源氏と天皇の后との「禁断の恋」にかかわる個所を削ってい
たことで知られる。当局や校閲した国語学者山田孝雄の圧力によると
いわれるが、山田の蔵書から経過を知る書き込みが見つかった。古典
文学をも圧迫した時代を感じさせるとともに、発禁を恐れた谷崎がい
かに慎重だったかを示している。>

<戦時中の古典への圧力を研究している青山学院女子短大の小林正明
教授は「軍国主義の時代背景が、削除の一番大きい理由です。源氏物
語を不敬文学とした時代があったことを考えるきっかけにしてほしい」
と話している。>

源氏物語は、下記サイトにあるように、戦前の「小学国語読本」にも
使われていましたが、それを削除すべきとの声もあったそうです。当
時の皇国思想は「伝統と文化を尊重」するものと思っていましたが、
いいとこ取りだったのですね。

源氏物語の受難

谷崎潤一郎は、戦時中も雑誌連載中の「細雪」が、時局に合わないと
いう理由で、連載を禁止されました。当時は“非国民”とにらまれて
いたのですね。

ネットで“不敬文学”を検索しますと、大江健三郎さんの「政治少年
死す」も検出されてきました。1961年、雑誌に掲載されたこの小説は、
前年に起こった社会党・浅沼稲次郎委員長刺殺事件の犯人をモデルに
したものですが、発表直後右翼から猛烈な抗議を受け、いまだに公刊
されていません。

そういえば、最近ノーベル賞作家の大江さんを“反日”呼ばわりする
一部の人がいますが、あのいやな時代を思い出させます。
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B29搭乗員の捕虜

戦時中、三重県名張市青蓮寺で墜落して死亡したB29爆撃機の米兵
11人の追悼碑を、地元住民が建立したとのニュースがありました。

追悼碑:撃墜B29爆撃機の米兵11人を慰霊 三重・名張
(毎日、28日)


落下傘で降りてきた米兵を、住民が惨殺したという話はあちこちであ
ります。すでに死亡していた米兵の遺体を引きずりまわしたという例
もあります。当時は「鬼畜米英」と言っていましたので、米兵など人
間でないと思っている人が多かったのです。

憲兵に引き渡されても、その多くは形式的な「軍律会議」で死刑の判
決をくだし、処刑されました。こういう無法な殺害の中でも有名なの
が、九州帝大医学部によるB29搭乗員の「生体解剖事件」でしょう。
しかもその人肉まで試食してといいますから、まさに敵兵は人間とみ
なしていなかったわけです。

一方、こういう捕虜を“武士道的”に扱った司令官や、戦死したB29
搭乗員を手厚く葬った僧侶などの例もありますが、それはむしろ例外
といえましょう。戦後になって、名張のように慰霊碑を建てたり、慰
霊祭を行っている例は各地に多いようです。

日米合同の慰霊祭

当時の日本軍は、国際法違反の無差別爆撃をした飛行士を「捕虜」と
扱わず、「敵機捕獲搭乗員」と呼び、戦争犯罪容疑者とみなしていた
そうです。

そういえば、アルグレイブ刑務所でのイラン人虐待がジュネーブ条約
違反ではないかとの批判に対し、囚人は戦時捕虜でも通常の犯罪人で
もないとアメリカ政府は抗弁しています。日中戦争で、日本軍が多く
の中国兵捕虜を処刑したのも、日中戦争は“事変”であって戦争では
ないので、彼らは戦時捕虜ではないという理由からなのでしょうか?

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プロフィール

Author:西羽 潔

・1933年生まれの軍国少年OB。
・メーリングリスト「戦争を語り継ごうML」主宰。
・ウェブサイト:「戦争を語り継ごう -リンク集-」
・著書:「むかし、みんな軍国少年だった」(共著)

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